真っ赤な身体が特徴的な、リルドラケンの若者。生まれた頃から、胸に紅い石が輝いていたらしいが、どうやらただの飾りらしい。

　幼少期に疎開した先の村で、細やかながらもたしかな愛を受けることができた。おかげで、健全に育った彼は、礼儀正しく、困っている人を放っておけない好青年になる。

　そんな彼に転機が訪れたのは、つい最近のこと。いつもどおり、村の住人のお手伝いをはじめとした人助けをしていると、村外れの森から女の子の悲鳴が聞こえた。困っている人を放っておけない性分の彼は、すぐに悲鳴のした方へ向かう。
　そこでは、見慣れないグラスランナーの少女がウルフ数体に睨まれていた。誤って、単身縄張りに入ってしまったようである。
　見てしまった以上、見て見ぬ振りができなかったブライアンは、その間に割って入り、グラスランナーの少女の手を借りながら、尻尾を武器にし、辛くもこれを撃破。

　少女の無謀な行動を窘めると、彼女は少しだけ顔を紅くし、はにかみながら、こう言った。

「ねぇ、あたしと一緒に冒険に行こうよ!」

　……「あっ、これ、ある意味『困った人』だ」と思った。
　そして、この時点で、もう放っておけなくなってしまった。

　それに、冒険者という仕事も自分に向いている気がした。村の中だけでなく、外の世界の人も助けられたら──その想いが、彼の首を縦に振らせたのである。

　かくして、真っ赤な身体と、まだ青い心を持った竜の冒険が始まった。

　見かけによらず、落ち着いた物腰ながら、社交的。真っ赤な見かけどおり、中身は熱く、けれど、まだまだ青い。困っている人を放っておけないお人好し。

　そして、とてつもなく鈍感である。かつて自分が助けたグラスランナーの少女「サラ」からは、種族を超えた恋愛感情を向けられているのだが、そのことに全然気づいていない。
　名前の後ろに自分の名前をつけられたり、時々「こんな歌を作ったんだー!　聞いて!」とラブソングを聞かされたりするが、全く気づいていない。
　ブライアンにとっては、あくまでも、異種族の「友人」なのである。