なーん！

クロアさんはクロアさんなーんのだ。なーんなーん。大きな人の半分ほどの背丈の小さなクロアさんはそう自己紹介をしました。なななんなん。
クロアさんの伝説――もとい記憶は森から始まったのであった。いつからそこにあったかなど些細なーんなこと。年輪を数えることもできないクロアさんには少々荷が重いのだ。
森の中では色んな生き物が暮らしていてクロアさんもそのうちのひとつにすぎないのであった。謙虚な評価ね流石はクロアさんなーんのだ。ししょーも草葉の陰で喜んでいることでしょう。
なーんとクロアさんはエルフのように泳ぐことができるのだが、時には水の流れに逆らわず水のご機嫌で移動するのも良いと思ったのであった。無駄な足掻きはあっぷあっぷするということを初めて知った時でもあった。
クロアさんは大抵の物を食べられるし美味しいものはみんな好きだが、特にピザが大大大好きなーんのだ。ご飯時になるといつも誰かが自分の元へと配達してきてくれないかドキドキするのであった。自分から頼んだことは数えるほどしかないけれど。みんなお仕事間違えなくて偉いなーん。でもナンも好きだよ。
あちこち歩いたり乗っかったり流されたりして旅をし、戦いで技を振るい、やっとこさ辿り着いたのがユーシズという今現在身を置いているおっきなーん国なーんのであった。お勉強などには別段興味もなーんいし普通に暮らす人たちのお行儀とはソリが合わなーんいので入学しようとは思わなーんかったが。なーんなら門前払いされたこともあったかもしれないが。クロアさんの類稀なる才覚は学園などという狭い檻には収まり切らないのだから惜しいものだ。
しかしそんなクロアさんにも切実な悩みがあった。お金が無いのである。あってもすぐ使っちゃうから貯めるなんてできっこないのである。宵越しの銭は持たねぇのがロックなーんだって。かっこいいね。だからマギスイーパーとして一生懸命働く必要があったんですね（メガトン構文）
世界のどこかにはクロアさんと同じ顔で似たような名前でギルド長にして現人神だったり悪の秘密結社で崇められてる邪神だったりがいたりいなかったりするそうなのでいつか会いに行ってみるのもいいかもしれないと秘かな目標を決めていたりもするのだよ。